第七話・強い決意
「……どうして平気でこんなことできるんですか? どうして! 悲しいと思わないんですか!?」
「私には責任があるから。村の人たちを殺したのも私。あのひとをあんなふうにしてしまったのも私。そして、この騒ぎにあなたを巻き込んだのも私」
フィアは「でも」と言いかけたローザリーを手で制して、
「涙なんて忘れたわ。泣いてもこの状況を誰かが変えてくれるわけじゃないから。
そんなことをする前に何よりもすることがある。あの人を止めなきゃ」
「そんな!」
ローザリーが思わず声を出す。その言葉は何倍にもなって返ってきた。
「それじゃあ、ローザが何とかしてくれるわけ? あのひとを止めることができるって言うの?」
フィアのその言葉は熱くとも、表情は依然変わらない。ローザリーの言葉は、フィアの一番奥にあるものを傷つけたのだ。
「……わたしでは無理です。 ……それでも、悲しいときは泣いていいんです。誰も、フィアを責めたりしません。責めさせません。 ……それにわたしもカンディア村の生き残りです。フィア一人で抱え込まないで下さい。重たい荷物なら半分こして持てばいいんだから」
「ありがとう」
フィアの表情が変わることはなかったが、それでも、照れてるような感じがした。
ガラスが割れた窓からはオレンジ色の夕日とオレンジに染まった空が広がっていた。
その日、割れた窓ガラスの修繕費の領収書を聖教会宛に送った後、フィアはまだリザルト王国公認自治軍の詰め所にいた。結局、事態の収拾がすんだころには、日も完全に暮れ、聖教会本部に行くには遅すぎる時間になっていたのだ。そのため、今日はここに泊まることになったのだ。
隣のベッドではローザリーが小さな寝息をたてて眠っている。今日は疲れたせいか、少し物音を立てたぐらいでは起きそうになかった。
「まだ十四歳なのにね。本当だったら……」
そのあとの言葉を思わず飲み込んだ。本当だったらの後のことは、もう絶対にあり得ないことだ。どれだけ強く願っても無いだろう。もし普通の子供だったら、引き取られることもあるだろうが、ローザリーに限ってはないことなのだ。
その理由はローザリーの能力にある。ローザリーの持つ能力『悪魔判別』にある。普通の能力を持たないものたちは、能力を持つものを畏怖している。ローザリーのこともだ。
さらに『悪魔判別』の瞳を開眼させてしまったのもフィアだった。思わずため息がこぼれる。
「フィアは悪くないです!! ……うーん」
突然、部屋の中にローザリーの声が響く。それがあまりにも突然だったので、フィアは驚いてローザリーのほうを見た。
しかし、そんなフィアの様子も我知らず。ローザリーは小さな寝息をたてて相変わらず寝ていた。
「ありがとう」
そういうフィアの表情には、どこか強い決意があった。
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